2012/07/27

戦略検討 - 「ゲーム理論」で考えてみると(1)



さて前回は、「『FXトレード』ってそもそも何をしようとしてるのか?」という事を「通貨投資戦略」とういう書籍を元に整理したところまで書きました。今回は、FXトレードを「ゲーム理論」にあてはめてみると、どういうゲームになって、そこから導き出される戦略はどうなるのか、という点を書いてみたいと思います。

 

正直、これが役に立つのかどうか、
さっぱりわからず。
読書後も、半信半疑。
#「ゲーム理論」自体は面白かったけど。


それはそれとして、ひとまずやってみる事にした。
さて、さっそくですが今回メインとなる書籍の紹介。
 「ある特定の条件下において、お互いに影響を与え合う複数の主体の間で生じる
 戦略的な相互関係」を研究する数学、経済学の一分野

ともかく、「FXトレード」というものは「どの様なゲーム」で、「合理的な行動とは何か?」というのを、机上の空論でもいいので、理想論を一旦整理してみたい。そこに「何か」の原理原則があれば、「人間が実際に行う非合理的行動」というのも見えてくるのではないかな、という発想。

【記事の流れ】
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1.そもそも「ゲーム理論」とは
2.FXはどんな「ゲーム」の種類なのかを考察
3.「ゲームの種類」に応じた「ゲームを解く」思考方法
4.課題
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【そもそも「ゲーム理論」とは】
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ゲーム理論とは「複数の意思決定をする主体が、その意思決定に関して相互作用する状況
 を研究する理論
意思決定をする主体が2つ以上あり、それらが相互に影響を及ぼしあいながら意思決定を
 行うとき、どのように行われるのか、またはどのようにおこなわれるべきか、について
 考察し、「ゲームの解」を求める。

1.最終的な目標
  最終的な目標は、モデル化されたゲームでどのプレイヤーがどのような行動をとるかを予想
  すること。この予想される結果を「非協力ゲームの解」と呼び、「ゲームの解」を求めることを
  「ゲームを解く」と言う。

2.想定する状況
  現在の一般的な「ゲーム理論」は、「合理的」なプレイヤーを想定している。
  ここで言う「合理的」である条件は以下。

 ●「合理的」である条件
  1.起こりうる結果に対して、好みの順序を自分で判断でき、一貫性がある。
  2.「1.」で考えた自分が好む結果を得られるように、最適な選択
    (効用を最大にするように選択)を行う。
  3.大変賢く、目的を達成するためにどんな計算もできる。

  ただ、個人の好み自体が、世間一般的に合理的かどうかは問題ではないのが注意点。
  前回ブログ記事で言うと、「通貨市場から収益をあげる事を目的としない」プレイヤー
  の行動は、うちらには合理的に感じないけど、彼らなりの合理的な行動をとっていると
  言える。

  「ゲーム理論」はあくまでも、参加者全員が「合理的な行動をとる」事を前提としている。
  しかし、実際のFXでは、合理的ではない行動をする人がいるで注意が必要かも。

3.基本的な「ゲームを解く」思考方法
 ・第一ステップ 
  まずゲームの中のプレイヤーごとの視点に立ち、そのプレイヤーの立場になって考える。
 ・第二ステップ
  自分が考えているプレイヤー以外が選択したすべての戦略に対して、どの戦略が一番高い
  利得を与えるか考える。
 ・第三ステップ
  全ての戦略に対して検討したら、次に別のプレイヤーの視点に立ち、第二ステップを続ける。
  全てのプレイヤーに対してこれを検討する。
  
「ゲームを解く」方法は上記が大筋の考え方だけど、ゲームの種類に応じて詳細は色々変わってくる。なので、「FXトレード」のゲームの種類を考察すれば、「ゲームを解く」方法も解ってくるハズ。

本当かなぁ。。。。

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さて、さっそく「ゲームの種類」について考察。
「ゲームの種類」には、色んな切り口があるので、その「切り口」毎に考察してみた。

【「非協力ゲーム」か「協力ゲーム」か】
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ゲーム理論は、「非協力ゲーム」と「協力ゲーム」の2つに大別されるらしい。

●非協力ゲーム
 個人一人ひとりを社会の構成単位と考えて、その個人がどのような行動を
 選択するかについて扱う理論。一般的にこっちが主流らしい。
●協力ゲーム
 個人ではなく提携を構成単位の基礎としている点で、非協力ゲームと異なる。

要は、個人の行動を基礎とするのが非協力ゲーム、提携が得る利益を基礎とするのが協力ゲーム。
なので、FXトレードは「非協力ゲーム」だと思う。
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【「完備情報ゲーム」と「不完備情報ゲーム」」】
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プレイヤーを取り巻く環境に不確実性が無いと考えるのが「完備情報ゲーム」
・「不完備情報ゲーム」では、各プレイヤーは他のプレイヤーが知らない個人情報を
 持っているゲームで、確率によって相手の持つ個人情報を推測して、その期待値に
 よって行動を決める。

FXの場合は、「不完備情報ゲーム」だと思う。
自分だけが知っている情報の例といえば、プレイヤーの「トレードルール」等があてはまるのだと思う。
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【「戦略形ゲーム」と「展開形ゲーム」】
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戦略形ゲーム : すべてのプレイヤーが、同時に行動をする。(例:じゃんけん)
展開形ゲーム : 「戦略型ゲーム」以外。同時に行動したり、順番に行動したり。

一瞬、直前のプレイヤーがとった行動に伴って変動した為替レート見て、直前のプレイヤーがとった行動を推測した上でで行動すると思うので、「展開形ゲーム」だと思った。
でも、「別の誰かの行動」を待ってから「はい、次は自分の番」という「ルール」ではないので、「全員が同時に行動する」事を「繰り返す(後述)」ゲームなのだと思う。なのでFXは「戦略型ゲーム」
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【「繰り返し」と「時間経過」】
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FXは1回のトレードで終わらせるのではなく、前述の通り、何回もトレードを行う。
これを「ゲーム理論」では、「繰り返しゲーム」と呼んでいて、「有限回の繰り返しゲーム」と「無限回の繰り返しゲーム」に分類される。最終回から順に最適解を選んでいけるレベルを「有限回」、それが出来ないぐらい何回もするのが「無限回」というイメージ。なのでFXは「無限回の繰り返しゲーム」になると思う。

※補足:「経過時間」
それとは別に、「ゲーム理論」では時間経過と長期的な関係についても考察されていた。長い時間が経過するゲームでの大切な考え方は「将来と現在で同じ利得が得られるのであれば、現在のほうが価値が高く、将来のほうが価値が低い」というもの。
#FXで言うと、将来の10万円の含み益より今の10万円の含み益の方が価値が高いっていうイメージ。

将来の利得を、現在の利得に直したものを「現在価値」と呼んで、「近視眼的」なのか「気長な人」で具体的な計算結果が変わってくる理屈。
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ここまでを整理すると、「FX」というゲームは以下の様になる。

【結局FXはどんな種類のゲームか】
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「非協力ゲーム」
 個人一人ひとりを社会の構成単位と考えて、その個人がどのような行動を選択するかについて 扱う。
「戦略型ゲーム」
 すべてのプレイヤーが、同時に行動をする。
「不完備情報ゲーム」
 各プレイヤーは他のプレイヤーが知らない個人情報を持っているゲームで、確率によって相手
 の持つ個人情報を推測して、その期待値によって行動を決める。
「無限回繰り返しゲーム」
 実質的に無限回の行動が選択されるゲーム。
  
という整理。
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ゲームの種類が判ったので、「ゲームを解く」方法が判るハズ。
以下、要約した「ゲーム」を解く方法。

【FXでの「ゲームを解く」方法】
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1.「不完備情報の戦略型ゲーム」の解
  ●ゲームの解は「ベイズナッシュ均衡」
   それぞれの「タイプ」ごとに期待利得が最大になるように行動を選ぶと考え、その組み合わせが
   ゲームの結果。
   すべての「プレイヤー」のすべての「タイプ」が、(他のプレイヤーの戦略はそのままで)
   その戦略で選んでいる行動を他の行動に変更しても期待利益が高くならないとき、その戦略
   の組合せを「ベイズナッシュ均衡」と呼ぶ。
  ●「ベイズナッシュ均衡」を求める方法
   1.与えられた「利得行列」から、各プレイヤーの戦略と各プレイヤーの各タイプの期待利得
     を計算した「利得行列」を新しく作成する。
     ※利得行列 ・・・ 「戦略型ゲーム」の構成要素を具体的に表現したもの。
   2.「各プレイヤー」のすべての「タイプ」ごとに考える
   3.「自分以外のプレイヤー」のすべての戦略1つ1つに対してその「タイプ」の最適反応戦略
     (利得を最も高くする戦略)を求め、その戦略の利得に下線を引く。最適反応戦略が
     2つ以上あるときは、両方とも下線を引く。
   4.相手の全ての戦略に対してそれが終わったなら、別のタイプについて同様の操作を
     行う。全てのタイプについて終わったなら別のプレイヤーの全てのタイプについて、
     同様に行う。
   5.すべてのプレイヤーのすべてのタイプの利得に下線がひかれている戦略の組が、
     「ベイズナッシュ均衡」である。
  ●「ベイズの定理」より
   「ベイズの定理」で「事前確率」を「事後確率」に変換してから、「ベイズナッシュ均衡」
   を求める。「ベイズの定理」から相手のタイプに対する推測確率を導く「不完備情報ゲーム」
   の形式を「ベイズゲーム」と呼ぶ。現在のゲーム理論におけるほとんどの不完備情報ゲーム
   の分析は、ベイズゲームであり、ベイズゲーム=不完備情報ゲームと考えても間違いでは無い。

   ※「ベイズの定理」
    不完備情報ゲームにおいては、確率による推測や個人の情報と言う考え方が中心的な役割。
    この時重要になる考え方が「ベイズの定理」。
    「ベイズの定理」は、個人が情報を得る前の確率的推測が、情報を得た後にどのように更新
    されるかを示す定理。 

2.「無限回の繰り返しゲーム」の解
 無限ゲームでの「部分ゲーム完全均衡」を考えることは難しいので、
  ゲームの解を「ナッシュ均衡」とする。
  
 つまり、前述の「不完備情報の戦略型ゲーム」を考えれば良いのかな??
 場合によっては、「経過時間」の概念を入れるかどうか。
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さて、ゲームの種類も、ゲームを解く方法も判ったし、後はゲームを実際に解くだけ!




じゃなかった・・・




そもそも、「不完備情報の戦略型ゲーム」の構成要素を洗い出し、それぞれの「構成要素」を具体的に決めないといけない。。

【「不完備情報の戦略型ゲーム」の構成要素】
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1.プレイヤー
  ゲームのプレイヤーは、意思決定を行う主体である。個人であることもあれば、
  企業や国であることもある。
2.行動
  プレイヤーが選択可能な行動。
3.各プレイヤーのタイプ
  不完備情報ゲームにおいては、何人かのプレイヤーが自分や他者の利得に影響を
  及ぼす「属性」を持っている。この「属性」をプレイヤーの「タイプ」と呼ぶ。
4.各プレイヤーが自分以外のプ「レイヤーのタイプ」に持つ「推測確率」
5.利得
  各プレイヤーが戦略を選択すると、ゲームの「結果」が定まると考える。  「結果」とは、すべてのプレイヤーが戦略を一つ選択したときの戦略の組を指す。
  この結果に対する各プレイヤーの好みを数値で表したものが「利得」 
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ん??????

構成要素を決めるの、難しそうやぞ???


例えば、「プレイヤー」は単純に考えれば「トレーダー」なんだけど、「ゲーム理論」が「複数の意思決定をする主体が、その意思決定に関して相互作用する状況を研究する理論」である事を考えると、1人の個人トレーダーの行動が、「相互作用」を及ぼすほどの影響を与えるとは考えにくい。
じゃぁ、どういう単位を「プレイヤー」と定義するのか?

「プレイヤー」の定義が個人であれば「行動」は、「買い」/「売り」/「何もしない」の3種類しかないはずだけど、それは妥当なのか?

「プレイヤーのタイプ」ってどういう定義が妥当なの?「実需」とか「投機」とか「為替トレーダー」とかという分類でいいのか?「推測確率」は?

「利得」は?純粋に「為替市場から得られる収益」?「実需」の人にとっての「利得」を数字でどうやって表す?

そもそも具体的なゲームを定義する「利得行列」は価格変動毎に変わるんじゃないの??






そもそも、FXトレードの戦略を

「ゲーム理論」で考える事ができるのか???



そして、「ゲーム理論」での考察継続に疑問・不安を持ちながら、「FXシステムトレード初心者奮闘記」は「基本戦略の選択」に向けて、役に立つかどうかわからないまま知識を整理・検討している様子を継続し、「ゲーム理論」の定義と考察を続けるかもしれないのでした。
#どなたかヒントや、意見、異議・主張などのコメント頂けたら嬉しいです!運用中EAのパフォーマンスは、純益が元本の+1%を割ってしまった・・

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