さて前回は、トレードルールを作成する手順について「暫定手順」を検討したところまでを書きました。今回は、手順内の「基本戦略の選択」に向けて、「通貨投資戦略」という書籍をベースに、「そもそもFXトレードで利益を出す」って事が一体何をしているの事になるのかを、整理・検討している状況です。
さっそくですが、今回メインとなる書籍の紹介。
●書籍名:「通貨投資戦略」2009年発行の「シティバンク銀行 個人金融部門」編著の書籍。通貨取引を資産運用に取り入れようと考えている投資家や、金融業会で通貨関係の仕事を目指す実務家に向けて、通貨戦略の基礎的な概要について書かれた書籍であり、シティバンク銀行の通貨取引・運用戦略の開発を行っている部門で執筆。資産運用に通貨取引を新たに加える事の是非から議論しており、為替市場そのものや通貨取引の歴史、基礎知識、戦略に対する考察等が書かれている。
紹介したとおり、そもそも論から始まり、「通貨」に特化した大きいレベルの「戦略」について考察されていたのでこの本を最初に整理・検討する事にした。
さて以降が、整理・検討した内容。
正直、自分の頭の中の整理用に書いてる。。。
さて、「FXって収益得られる構造なんだっけ?」という「そもそも論」からスタート。
【収益の源泉は?】
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「通貨戦略は、外国為替に収益の源泉を求めるという事だが、その源泉は一体何なのか?」
例えば株式であれば配当金だし、社債であれば利息が投資の収益の源泉。それはとりもなおさず、その企業の利益であり、その企業活動から生み出されたもの。(と、個人的には思ってるけど、どうだろう?)
じゃぁ、「外国為替市場での収益の源泉は?」
ん?????確かに、考えた事も無かった。。。。
書籍では以下の様な事を書いていた。
「通貨戦略による投資収益は、2通貨間の金利差及び為替レートの変動」
うーん。確かにその通りなんだが・・・
ゼロサムゲームとも言われる中、これだけだと収益の源泉が無いんじゃないか、って思ってしまう。
とりあえず、以下がこの書籍の基本スタンス。
・為替市場には二重の意味で非効率性が残存し、したがって収益機会が存在する(詳細は後述)
・従って、為替市場から収益を上げることは可能である
これだけだとわからん・・・
が、そもそも「為替市場から収益を上げること」が可能かどうかなんて、考えた事が無かった。今までは「どうやって収益を上げるか」しか考えてなかったなぁ。こういう基本的な「そもそも論」をおさえていないと小手先の手法に振り回されてしまう事になるんじゃないか???なーんて思う。。。
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さて次は、なぜ「収益機会が存在」していると主張しているのか。
【非効率性こそ通貨戦略の生命線】
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該当書籍では「非効率性こそ通貨戦略の生命線」であり、収益機会(≒非効率性)が存在すると言う理由は、以下の通り。
「価格が理論値の収束する傾向があったとしても、色んな要素が複雑に絡み合って価格が決定されているし、実際のボラティリティは高いので理論値通りになんてなるはずがない。そこに非効率性が存在するので収益機会になる」
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さて次は、「ゼロサムゲーム」について。
【ゼロサムゲームで勝てるのか?】
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仕組みがゼロサムゲームなのであれば、本当にプラスのリターンを安定的に得ることは可能なのか?という疑問に対する考察が書かれていたので要約。今回のブログ記事の大きなポイントの一つだと思う。
1.多様な参加者
市場参加者は、その目的や能力・経験などにおいて多種多様。従って、高い能力と
豊富な経験を持つ投資主体が為替リターンの追及に徹するならば、「勝つ」事が可能。
2.参加者構成
取引自体からのリターンを必ずしも主要目的としていない投資家による取引ウェイト
も為替取引高の60%を占めていると推測(※)。つまり「取引動機による歪み」
という非効率性の発生要因。
※国際決済銀行の統計資料(’07)及びシティグループが把握している範囲による推測。
「2割が実需筋で8割は投機筋」という解説をよく聞くけど、ここで言う「投機筋」
には、「為替市場からリターンを得る」事を目的としない人(投資信託等)も含まれる。
ちなみに実需は、事業法人が行う貿易取引及び直接投資(設備投資等)等。
つまり、能力や目的の差により2重の歪みが発生するので、そこが収益源になるという事。
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つまり「FXトレードで収益をあげようとする事」は、一般的に言われる「スキル弱者から吸い取る」という純粋なゼロサムゲームだけでなく、60%近くいると推測される「為替市場からリターンを得る事を目的としない人」から収益を得る事でもある。
ちなみに市場参加者を上記数字から計算すると、以下の比率。
●参加者の内訳(推測)・事業活動に伴う為替取引者 20%・投資信託等の投機筋 40% ← ここがよく混同されて表現される・為替市場から利益を得ようとする投機筋 40% ← ウチら
もう、これだけでもこの本を買った大きな収穫!!
#今まで(細かい点を除けば)ゼロサムゲームだと思ってたから。
さて書籍は、通貨の歴史や、フォワード取引、パフォーマンス指標の読み方、レバレッジ、クオンツについて書かれているけど、今回の記事の主旨からは少し離れるので割愛。
そしてこの書籍で戦略は「トレンド戦略」と「キャリー戦略」についてそれぞれ語られているけど、「キャリー戦略」は、検証できそうに無い事もあって使わない。前回のブログ記事で「価格データ」による戦略は「トレンド戦略」か「回帰戦略」しか無い事になっていたけど、「回帰戦略」については本書では章を設けてまで説明していない。
なので次は純粋に「トレンド戦略」について。
本書籍の「トレンド戦略」には「移動平均」等の色々な事が書かれているけど、まずは収益の源泉を整理する意味を込めて、そもそも「トレンドがなぜ形成されるか」という箇所に着目してみた。
【通貨トレンド形成のメカニズム】
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ここの目的は、トレンド形成の大枠のメカニズムとトレンド・モデルのパフォーマンスとを関連付けることで、トレンド・モデルの理論を理解しようとする事。
ここで言うトレンドとは、日中や数日単位ではない、持続的な中長期間のトレンドを意味。
書籍では通貨トレンドを、二つの経済発展ステージとサブプライム危機について考察。
→ 今の所発展途上国の通貨でトレードする気が無いので、関係無いと思う。●第一のステージ経済発展途上時期における輸出型経済におけるトレンド形成。(日本がかつてたどった道)
・固定相場レートから脱却すると、通貨レートは均衡レートに向かって変動を始める。・真の均衡レートはだれにもわからない。持続的に均衡レートが調整された軌跡こそが通貨トレンドそのもの。
→ 欧州債務危機の中、リスク・オン状態であればこんな感じなのかな?●第二のステージ世界経済が一体化する過程で生じる経済ブロック化に伴う通貨トレンドの弱体化結論から言うと、先進国通貨においてトレンドが構築される厳密なメカニズムなど
存在しない。 むしろ、通貨トレンドは弱まっていく傾向にある。・概して成熟した二国間経済には両国にとって居心地の良い為替レートは均衡レート
として機能しはじめ、そこに重力のような力が働き始めて中心回帰的な動きが
見られるようになる。いわゆるレンジ取引。・先進国通貨レートには、市場の見方が分散されてしまうために、一方的なトレンドという市場の合意的な意思形成が相対的に難しい。・しかし、先進国通貨における爆発力のあるトレンドは、より短命になる傾向があり、
タイミングを予測することはより複雑な作業になってくる。
●パニック状態(2008年夏のサブプライム危機)・経済危機が発生したことで、ファンダメンタルズの根幹が崩れ、レート自体の根拠
が失われる・市場はパニックに陥り、瞬間的に過大評価と過小評価が発生する結果、ボラティリティは極大化してしまう・調整のペースがあまりにも速いため、「レートがジャンプした」と言った方がより正確・こういったジャンプによるトレンドは間違いなく一過性。 重要なのは新しい通貨体制の構築
→ 最近のサプライズ発生時はこの状態なのかな?
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そして、色々ごちゃごちゃ書いてきたけど、今回の要約を通じた総括と考察をした結果が以下。
【総括】
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通貨戦略による投資収益は、2通貨間の金利差及び為替レートの変動から得られ、その収益の源泉は「能力の低い参加者による非合理的行動」と「取引動機による歪み」の2つから生まれる価格決定の「非効率性」。なので、目的ベースに考えるとFXトレードは必ずしもゼロサム・ゲームではない。
トレード対象と考えている先進国通貨において、(中長期的な)トレンドが構築されるメカニズムは存在せず、基本はレンジ相場。しかし「サブプライムローン問題」や「欧州債務危機」等でサプライズも多く、パニック状態になるとボラティリティが急上昇し、「レートがジャンプ」している様な一過性のトレンドが発生する。
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【考察】
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現在は、以下の状況を行ったりきたりしてるって事かな?
状態1.平常時は基本的にトレンドが弱まっていく。トレンドが発生しても短命傾向だし、
タイミングの予測は困難。なので、平常時はレンジ相場か無風。
タイミングの予測は困難。なので、平常時はレンジ相場か無風。
状態2.サプライズ発生後等にパニック状態になる事で、「ボラティリティが極大化」し、
「レートのジャンプ」の様な一過性のトレンドが発生する。
「レートのジャンプ」の様な一過性のトレンドが発生する。
「レートのジャンプ」は、40%の為替トレーダーからだけではなく、他に40%を占めると思われる「為替市場からの収益を目的としない投機家」によるリスク回避的行動からも発生してるって事かな? それとは逆に、時として発生する短命トレンドは、一旦リスク・オフの状態になってから、リスク・オンの状態に市場が移行し始めると、緩やかに発生するって雰囲気かな?
現在運用中のシステムは緩やかな中期トレンド形成時に有利という特性という事を考えると、レンジ相場に適合する「回帰システム」を次に選ぶ事は理にかなってそう。回帰システムでも、ある程度ボラティリティが無いと、単なるランダムな動きで、逆張りも機能しない気がするので、一定のボラティリティがあるときだけにトレードすればいいのかなぁ。
ただ、「レートがジャンプ」した状態後のトレンドは一過性。ここをどう考えて、システムに組み込むのか、もしくは別システムにするのか。いずれ分析して決めなければ。。
他にも説明しずらいとされる、短命なトレンドもあるとの事なので、そこを捉える「短期トレンドシステム」も次の候補の一つかも。
他にも説明しずらいとされる、短命なトレンドもあるとの事なので、そこを捉える「短期トレンドシステム」も次の候補の一つかも。
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いづれにせよ、
この整理結果は「仮説」に過ぎないので、
何かしらの方法で検証してみないと。。
おっと、検証方法を「検討」しないと。。。
「また検討? ・・・ (-_-;)」byヨメ
そして、「FXシステムトレード初心者奮闘記」は「基本戦略の選択」に向けて、役に立つかどうかわからないまま知識を整理・検討している様子を継続し、「ゲーム理論」に進むのでした。
#疑問や意見、異議・主張などのコメント頂けたら嬉しいです!運用中EAのパフォーマンスは、純益が2%割ってしまった・・
(倍に増資したという理由もあるけど)
(倍に増資したという理由もあるけど)
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