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2012/11/17

戦略検討 - 「戦略検討」のまとめ



さて前回は、「プロスペクト理論」をモデル化した理屈をもとに、シミュレーションした結果について書きました。今回は、これまで書いてきた「戦略検討」をまとめた結果を書こうと思います。

今回の記事の意図は、いろいろ検討ばかりしていても先に進まないので、一旦区切りを付けたい、という事と、今回の記事を印刷しておいて、何かのおりに都度見ながらアイデアにつなげるため。

【全体像】
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1.収益の源泉と参加者
2.ゲームの内容
3.価格変動モデル
4.近道選び(ヒューリスティック)
5.プロスペクト理論
6.群集行動
7.戦略の基本的構造
8.「理論駆動型」戦略の分類
9.次システム候補
------------------

【収益の源泉と参加者】
------------------
トレード対象と考えている先進国通貨において、(中長期的な)トレンドが構築されるメカニズムは存在せず基本はレンジ相場パニック状態になるとボラティリティが急上昇し、「レートがジャンプ」している様な一過性のトレンドが発生する。

●収益の源泉
 ・為替市場には二重の意味で非効率性が残存し、したがって収益機会が存在する
  従って、為替市場から収益を上げることは可能である
 ・二重の非効率性
  「能力の低い参加者による非合理的行動
  「取引動機による歪み

●参加者
 1.多様な参加者
   市場参加者は、その目的や能力・経験などにおいて多種多様。従って、高い能力と
   豊富な経験を持つ投資主体が為替リターンの追及に徹するならば、「勝つ」事が可能。
 2.参加者構成
   取引自体からのリターンを必ずしも主要目的としていない投資家による取引ウェイト
   も為替取引高の60%を占めていると推測(※)。
   ●参加者の内訳(推測)
    ・事業活動に伴う為替取引者 20%
    ・投資信託等の投機筋    40%
    ・為替市場から利益を得ようとする投機筋 40%
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【ゲームの内容】
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選んでいる行動を他の行動に変更しても期待利益が高くならないとき、その戦略の組合せを「ベイズナッシュ均衡」と呼び、それがゲームの解。

●「非協力ゲーム」
 個人一人ひとりを社会の構成単位と考えて、その個人がどのような行動を選択するかについて
 扱う。
●「戦略型ゲーム」
 すべてのプレイヤーが、同時に行動をする。
●「不完備情報ゲーム」
 各プレイヤーは他のプレイヤーが知らない個人情報を持っているゲームで、確率によって相手
 の持つ個人情報を推測して、その期待値によって行動を決める。
●「無限回繰り返しゲーム」
 実質的に無限回の行動が選択されるゲーム。
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【価格変動モデル】
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注文中のオーダーが偏った方向に、偏り分だけの速度で為替レートが変動する、と考える。
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【近道選び(ヒューリスティック)
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複雑な過程を省略した、ある程度合理的意思決定。以下は、代表的な3つの「近道選び」。

1.代表性
  統計理論に基づく推測を行うべき状況で、本来客観的な意味で法則が存在しないときに、
  直感的な判断で、主観的な法則を導き出してしまう行動。主観的な確率評価は、客観的
  なものから乖離してしまいがち。
2.利用可能性
  容易に思い浮かぶ情報を優先させて判断してしまう認識プロセス。
  思い浮かびやすい事象に対しては過大な確率を、逆に思いつきにくい事象に対しては
  過小な確率を与えるというバイアスを持つ。思い浮かびやすい要素は以下。
3.係留(アンカリング)
  数量的な評価を行う際の回答が、その時にもたされている情報に左右されるという仮説。
  回答に要する時間が短く限られている場合は、係留効果が発現しやすいが、時間が十分に
  ある場合は、影響を受けない。以下は、係留効果起因のバイアス。
-----------------
※出典:「行動経済学入門」 /  ブログ記事:「行動経済学」(1)整理してみた

【プロスペクト理論】
-----------------
正しく判断したとしても、くじ引きや株式投資など不確実な状況で実際はどう行動するのか

● 「行動パターン」の3つの性質
 1.「損失回避性」
   損失をそれと同じ規模の利得よりも重大に受け止める。
   →多くの実証実験の結果、「損失は利得よりも2~2.5倍程度重要」
 2.「感応度逓減」
   参照点から離れれば離れるほど、利得の変化から生じる価値の変化分が小さくなる
 3.「確実性効果」
   わずかな確率であっても発生する可能性があるケースを強く意識する

● 行動のモデル化
 100人の実需プレイヤーが、途中で決済しながらも、最終的に全員ポジション保有
 する方向で推移していく。その後、同じ様に逆方向に推移。

 ・実需の発注方向に為替レートが動くという想定。
 ・合理的な行動は、実需偏りの方向に早く発注し、実需の半分(50名)がポジション保有した
  タイミングで決済する、という前提
● シミュレーションの結果
  1.発注
   大きく勝っているか負けている人が合理的。元本に近い人ほど非合理的。
   ※ここで「合理的」とは、「小さな実需の偏りでもトレードを行う」事
 2.決済
   ・含み益がほぼ±0近辺の人程はやく決済する。
   ・実需の偏りが少ないときほど、はやく決済する。
   ※ここで「合理的な行動」は、「実需の半分がポジションを持った状態」で決済する事。
 3.特に非合理的な人
   ・口座残高が原資に近く、実需の大きな偏りでしかトレードをしない人。
   ・含み損失/利益が大きく、実需の小さな偏りで発注した人。
-----------------
※出典:「行動経済学入門

【群集行動】
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理論物理学者ディディエ ソネット氏は、書籍「入門 経済物理学」の中で、金融市場に見られる同調行動を以下の4つに分類したとのこと。

1.情報のカスケード
  前の人の「行動」を観察した人が、その「行動」に倣って行動すること。
2.評判への同調
  評判の高いオピニオン・リーダーに同調する行動。
3.調査のための情報
  アナリストの同調行動が該当。
4.観察された同調行動
  ポジティブフィードバック取引のこと。
  ひとつの行動が自己強化サイクル的に増強されていくのがポジティブフィードバック。
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【戦略の基本的構造】
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戦略の構成要素を示したもの。
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【「理論駆動型」戦略の分類】
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市場のふるまいを説明する理論を考える戦略。一方「データ駆動型」は、観察はするけど理論をもとめない、という考え方。
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【次システム候補】
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・レンジ相場に適合する「回帰システム」
・「短期トレンドシステム」
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そして、「FXシステムトレード(元初心者)奮闘記」は「戦略検討」を終わらせ、どこかに進むのでした。次からはもう少し記事を短くしよう。。。
#運用中EAのパフォーマンスは、含み益をいれても元本+1800円涙

2012/10/26

戦略検討 - 「プロスペクト理論」(2)モデルの計算と結果考察



さて2ヶ月も前の前回は、「FXトレーダ」のモデル化「プロスペクト理論」をあてはめた様子を書きました。今回は、「モデル化」した理屈を基に、具体的な数字を使ってシミュレーションしてみた結果について書いてみたいと思います。

【今回記事の流れ】
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1.シミュレーション前提のおさらい
2.モデル詳細の見直し
3.モデルを基にしたシミュレーション計算方法
4.シミュレーション結果と考察
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さて、前回から2ヶ月も経ってしまったので、まずはおさらいから。

【シミュレーション前提のおさらい】
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1.おさらい

以前の記事で紹介した「プロスペクト理論」で発生する「人間行動の歪み」から収益を得ることを検討。この歪みは、仮に「正しい情報」を知ってても、その不確実性が故に「人間」が行ってしまう「非合理的」な行動。この「プロスペクト理論」には計算式があり、以下の2つ。

 ・「損失回避性/感応度逓減」 → 「価値関数」で計算
 ・「確実性効果」 → 「確率ウェート関数」で計算

2.シミュレーションの前提

前述の見直し点以外は、前回記事の「モデル設定詳細」の通りで、大雑把にまとめると、以下の通り。

■モデル概略
 ★100人の実需プレイヤーが、途中で決済しながらも、最終的に全員ポジション保有する方向
  で推移していく。その後、同じ様に逆方向に推移。(前回からの変更点。詳細は後述。
 ・実需の発注方向に為替レートが動くという想定。
 ・合理的な行動は、実需偏りの方向に早く発注し、実需の半分(50名)がポジション保有した
  タイミングで決済する、という前提
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さて、前述のモデル詳細見直しについての説明

【モデル詳細の見直し】
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まず、前回記事のモデルを一部修正。そもそも、「実需筋がまんべんなく全員がポジション保有した後、徐々に決済していく」というモデルだったのを、実需筋が、途中で決済しながらも、最終的に全員ポジション保有する方向で推移していく。その後、同じ様に逆方向に推移。というモデルに修正。背景としては、「実需筋の決済」に関する「不確実性」を盛り込むため。

なので、「モデル設定詳細」の一部計算式を以下の様に変更。

■モデル設定詳細 ※Pb:新規発注の「買い」の確率、Ps:「売り」の確率、π(x):確率ウェート関数
 
 ・【変更前】期待される利益・損失は以下の様に考える(ここがミソ)
  「新規買い」の場合 = 未発注プレイヤー数 × π(Pb) + 売り保有中プレイヤー数
  「新規売り」の場合 = 未発注プレイヤー数 × π(Ps) + 買い保有中プレイヤー数
        
 ・【変更後】期待される利益・損失は以下の様に考える(ここがミソ)
  「新規買い」の場合 = 未発注プレイヤー数×π(Pb) + 保有中プレイヤー数×π(Ps)
  「新規売り」の場合 = 未発注プレイヤー数×π(Ps) + 保有中プレイヤー数×π(Pb)
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さて、実際に計算してみた。

【モデルを基にしたシミュレーション計算】
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A.偏りを「買い50%」から徐々に大きくしていく
  実需保有ポジションはゼロで計算
  
B.主観的確率を「確率ウェート関数」で計算する
  計算式に基づくと以下の様に、「勝った(for Garin)」時「負けた(for Loss)」時
  で使う「定数」が異なる。なので、「勝ち負け」と「買い売り」それぞれの場合で
  「主観的な確率」を求める。例えば以下は、「実需買い70%」の場合。
  
  客観的には「買い発注」する事で70%の確率で「勝ち」になるけど、
  主観的には「買い発注」で勝つ確率は46%、「売り発注」で
  利益が出る確率は20%と考えてしまう。
  ※二つ足しても100%にならないのもミソ
  
C.さらに「価値関数」で利得を計算し、実際にとる行動を決める
  「価値関数」の計算では、「勝った時の利益」と「負けた時の損失」を天秤にかけ、
  「主観的な推定利益」を求める。
  参照点は一旦ゼロで計算。すると以下の表な計算結果が求まる
  その他条件は「実需買い70%」、実需保有ポジションなし。
  
  上表の「3.」の「総合評価」欄が、総合的な判断結果。今回は「ニュートラル」
  で、「発注しない」という結論。
  
  総合判断の方法は、「買いオーダー」も「売りオーダー」も同じ判断結果になれば、
  その方向で発注すると判断。両者が食い違っていれば、「どっちかわかんない!」
  という事で「ニュートラル」。
  
  さて、「実需買い70%」を「実需買い75%(+5%)」にしてみたのが以下。
  
  今回は、「買い」で損得を考えた場合でも、「売り」で損得を考えた場合でも、
  「買いが得」という同じ結論になったので、「総合評価」も「買い」
  
D.複数の「参照点」で以下を計算
  上記「C.」をいろんな値で計算して纏めたのが、以下の表。
   
  ■表の作成方法
   ・「発注」に関する判断
    何%の偏りで「買い」と判断されるか計算。51%に近いほど「合理的」
    と考える。「実需保有ポジションなし」の前提。
   ・「決済」に関する判断
    「実需保有中ポジション」をゼロから1ポイント単位で増やしていく。
    「総合評価」が「買い→ニュートラル」に変化したタイミングで「決済する」
    と考える。決済するタイミングが50(プレイヤー数100の半分)に
    近いほど「合理的」と考える。
   ・この計算を、3種類の「実需偏り」パターンで行う
----------------

そして出来上がった上記表を考察。
  
【シミュレーション結果と考察】
----------------
さて先ほど完成した表内の数字がどういう傾向になっているのかを書き加えたのが以下。なーんとなく傾向が出てる。計算式に数字あてはめただけだから当然だけど・・・
 
この表から言えそうな事を文章にしてみると以下。

●発注
 ・大きく勝っているか負けている人が合理的。元本に近い人ほど非合理的。
  ※ここで「合理的」とは、「小さな実需の偏りでもトレードを行う」事
●決済
 ・含み益がほぼ±0近辺の人程はやく決済する。
 ・実需の偏りが少ないときほど、はやく決済する。
 ※ここで「合理的な行動」は、「実需の半分がポジションを持った状態」で決済する事。
●特に非合理的な人
 ・口座残高が原資に近く、実需の大きな偏りでしかトレードをしない人
 ・含み損失/利益が大きく、実需の小さな偏りで発注した人
----------------




さて、これをどう捉えるのか?



そもそも今回のシミュレーション結果は、不確実性がある中で、正しい需給の偏りを知っている前提。なので、本当はありえない状況。あと、「戦略検討」の取組みの一つでしかない。



でも、何かに活かせると信じたい!






え?信じるものは騙される!?






そして、「FXシステムトレード(元初心者)奮闘記」は久しぶりのブログ更新ゆえに、過去記事を思い出しながら「戦略検討」を進めるのでした。
#運用中EAのパフォーマンスは、一旦+4%弱まで回復したけど、またもや元本割れ。。。1%弱程度だけど。。でも含み益は元本上回ってる!

2012/09/03

戦略検討 - 「プロスペクト理論」(1)モデル化



さて前回は、「ゲームのモデル化」のために、「行動経済学」なるものについて整理した様子を書きました。今回は、実際に「FXトレーダ」をモデル化するにあたり、「行動経済学」の「プロスペクト理論」をあてはめて考えている様子について書いてみたいと思います。


まずは前回書いた、「プロスペクト理論」について理解が不十分だった点を補足。
具体的には、前回記事の「『価値関数』のグラフ」について。
#自分自身が咀嚼しきれてなかった。。。


【「価値関数」の補足】
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前回記事で掲載したグラフはコレ。

まず前回記事で、「参照点」という重要な概念が抜けてた。つまり、ある意思決定をする時、自分の現状がグラフ上のどこにいているかを現す「参照点」からの差分で考える。
※ 「参照点」は「現在地」みたいなイメージ。

具体的に数字を使って説明すると、500円の利益が出ている状態であれば、X軸の500の位置を指すし、-200円の損失が出ていれば、X軸の-200円の位置にいてると考える。

そしてその「参照点」を中心に、選択した行動によって得られるであろう利益/損失の結果、X軸上のどの点に移動するのかを求める。そして「参照点」「勝った時のX軸」「負けた時のX軸」の3つのポイントそれぞれから、前回紹介した「プロスペクト理論」の計算式であるv(x)を求めて、参照点(現在地)のY軸差分から、実際に取る行動が決まる。イメージとしては下図。

上図は、例えば500円勝っている状況で、「新規発注の買いをした場合」に勝った場合は+400円の利益負けた場合はー200の損失が想定される場合。X軸の「参照点」との差分で考えるので、以下の様な計算結果。(実際は、買いか売りかは計算上関係無い)

●X軸(客観価値)
 参照点   : +500円
 勝った場合 : +500円+400円=+900円
 負けた場合 : +500円-200円=+300円

上記値を「価値関数」で計算してY軸の値を求める以下の結果。
※λ(損失回避性)を2.25、β(感応度逓減)を0.5で計算。具体的な計算式は前回ブログ参照。

●Y軸(主観価値)
 参照点   : v(+500円)=+22円
 勝った場合 : v(+900円)=+30円
 負けた場合 : v(+300円)=+17円

すると、主観的な推定利得は以下の様になる
勝った場合の主観的利益 : v(+900円)-v(+500円)=30円-22円=8円
負けた場合の主観的損失 : v(+300円)-v(+500円)=17円-22円=-5円

すると、主観的な「利益」と「損失」を併せて考えると、以下の様な主観的な期待値になって、「新規発注買い」をした方が良いという主観的な判断になる。

主観的な期待値=勝った場合の主観的利益 + 負けた場合の主観的損失
          8円-5円=+3円>0円

あくまでも不確実な状態において、勝った場合と負けた場合の、「客観的」な推定利益/損失が判っていて初めて計算ができる。
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さて次の問題は、「客観的」な推定利益/損失をどうやってモデル化するのか、という点。
「プロスペクト理論」は、たとえ全ての正しい情報を知っていたとしても、不確実性が故に歪んでしまう人間の行動を説明するもの。なので、実際は無理だけど、「全ての正しい情報を知っているという前提」で一旦モデル化を考えてみた。

【「プロスペクト理論」による行動のモデル化】
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100人の実需による新規買い・売りの比率が事前に判っている状態で、実需は必ず約定されるという前提。全員が一旦ポジションを保有し、その後全員がポジションを解消し終わるまでに、どういう行動と損益になるのかをシミュレーション。なので買い・売りの比率は、ポジション保有している人数が全体の半分を超えた時点で、逆に賭けた方が有利になる。期待利益のイメージは、同じ方向に後から発注する人数が多い方が利益が高い。

図でモデルを表現すると以下の様な感じ。最初、「実需プレイヤー」を現す「グレーの丸」が全て一番左にあって、一定の決まった比率で買いか売りが決まって、右側に順次移動していく。全員が一番右の「ポジション保有中」に移動した後、「グレーの丸」は、解消オーダ(新規発注とは逆側)を出し始めて、一番左の「ポジション未保有」に戻っていく。
#以前の「ゲーム理論」のブログ記事からモデル化の方法を変えた。。 注文中の偏りが価格変動を生むというイメージ。
 やっぱりポジション保有している状態で新規オーダが無い状態で価格が変わるのはヘンなので。

●モデル設定詳細
 ・100人の実需プレイヤー(資金単位)がいるとする。
 最初は誰もポジションを持っていない状況から始まる。
 プレイヤーは新規発注の「買い」の確率(Pb)と「売り」の確率(Ps)が判っている。
 発注スピードは一定とする。注文が偏った場合、相対取引者となるトレーダーが
  都合よく一定スピード遅れて現れる。(結果、必ず偏った方向に価格変動後に約定する)
 計算時は「買い」・「売り」の場合それぞれで、「勝つ確率」と「負ける確率」を、
  主観的な確率価値π(p)で変換する。(前回ブログで記載)
 ・期待される利益・損失は以下の様に考える(ここがミソ)
  「新規買い」の場合 = 未発注プレイヤー数 × π(Pb) + 売り保有中プレイヤー数
  「新規売り」の場合 = 未発注プレイヤー数 × π(Ps) + 買い保有中プレイヤー数
 上記確率価値で求めた確率価値関数に基づく”半”主観的な期待値を、客観的な期待値
   と考えて、「価値関数」を計算し、主観的行動を求める。
 自分の行動自体は価格変動に影響を与えない
 「価値関数」/「確率価値」の計算で使う定数は書籍の例にならって、以下にした。 
-----------------

ここまでルールを決めたので、このモデルで行動にどういう「歪み」が発生するのかをシミュレートしてみたい。しかし、上記モデルは実需のモデルで、本来決めたいモデルは「負け組FXトレーダ」のモデル。つまり、シミュレートして得られるのは、例え正しい実需の行動が判っていても、「不確実性が故に発生する行動の歪みの性質」
 
さて、シミュレーションにあたっては、実需の新規「買い」/「売り」の確率をまずは決めたい。

【「買い・売り」比率を設定する】
----------------------
ためしに「参照点」をゼロに設定して、買い・売りの確率を変動させていくと、まだ実需のオーダが一つも発注していないにも関わらず、客観的判断とプロスペクト理論による主観的判断が異なって来ることを発見。

参照点を-100~+100まで50刻みに移動させていった時に、客観的判断と主観的判断が一致する「買うプレイヤーの比率」を5%刻みに求めてみたら、以下の様な感じになった。


新規発注の際の「参照点」を何とするのか、というのは色んな意見があると思う。
投入資金からの増減残高と考える事もできるし、新規発注は常にゼロで、ポジション保有中の含み損益増減だけが参照点を変化させると考える事もできる。

少なくとも、ここでの注目ポイントは、「参照点」がゼロの場合、買われる確率が75%以上じゃないと「買う」と判断されない点。そして、「参照点」がゼロから離れていくと、少し確率が高くなる事で、確率が高い方向に発注する傾向になる。元本割れかどうかの瀬戸際の場合は慎重度が高くなって、よっぽど高い確率で勝てそうじゃなければ手を出さないという思考になるのかもしれない。そして、既に利益が多く出ていれば心の余裕が出るし、大損状態であれば、元本がどうだったかなんてどうでも良くなる。
#大損している状態の場合、参照点が口座残高に変わっているかもしれないなぁ。。

さて、参照点をゼロとした場合、確率が75%以上じゃないとプレイヤーは確率が高い方に発注しない。だれもポジションを取ってない状態で、判断が異なる状態でシミュレーションしても面白くなさそうなので、75%が買いポジションになるという条件を設定する事にした。
----------------------


ここまで決まったら、客観的行動と「プロスペクト理論」による主観的行動が求まってその差分が収益の源泉になりうる。

なので次にする事は具体的な数字を使ってシミュレーションをしてみる事。

実際に、実需プレイヤーの保有ポジション数を遷移させていき、全ての実需プレイヤーがポジションを保有した後、全実需プレイヤーが順次決済をしていった場合に、客観的行動をするプレイヤーと「プロスペクト理論」による主観的行動をするプレイヤーで利得にどういう性質の差が出るのかをシミュレーションしてみる。



シミュレーションして

何がわかるかは判らないけど。。。



そして、「FXシステムトレード初心者奮闘記」は「戦略検討」に向けて、「プロスペクト理論」でのシミュレーション結果の整理・検討に続くのでした。
#運用中EAのパフォーマンスは、ついに元本割れ。。。1%弱程度だけど。。でも含み益は元本上回ってる!

2012/08/16

戦略検討 - 「行動経済学」(1)整理してみた



さて前回は、「ゲームのモデル化」を検討している様子を書きました。その中で、「FXトレーダ(負け組)」を「行動ファイナンス」を使ってモデル化しようと考えたところまで書きました。今回はそのモデル化に向けて、「行動経済学」なるものについて整理している様子を書いてみたいと思います。

さて、今回対象となる書籍。
●書籍名:「行動経済学入門
心理学者カーネマン教授の研究を礎とした新しい「経済学」の分野で、発展途上ながらも広まりつつある「行動経済学」を広い観点から紹介している入門書籍。「行動経済学」は、従来の経済学のモデルをベースにしつつ、現実の経済現象や人間行動を説明する補完的アプローチが中心。
#ちなみに、以前のブログで紹介した書籍は、各論が並べてある書き方だったので要約しずらい≒体系がわかりづらいという理由で却下。。。

さっそく、この書籍をベースに「行動経済学」を整理。

【書籍の流れ】
--------------------
1.従来の標準的な経済学が前提としている人間は「超合理的」/「超自制的」/「超利己的」
  この前提に、どのような問題があるのか。
2.「超合理性」を現実的なレベルに少し緩めた「限定的合理性」だった場合の、
  行動や社会へのインパクトについての具体例。
3.「限定合理性」の性質である「近道選び」(ヒューリスティック)という行動原理について。
  「近道選び」とは不確実な状況で、厳密な計算や思索を行わずに、陥りやすい思考方法や
  判断プロセス。経験則による判断や思考のショートカット等。
4.不確実な状況での行動モデルである「プロスペクト理論」について。
  「近道選び」は判断までのプロセスに関するもの。「プロスペクト理論」は、
  正しい判断結果であった場合でも、実際はどういう行動になるのかという側面。
5.「行動ファイナンス」の研究成果を紹介。「行動ファイナンス」は、
  「行動経済学」を金融・資本市場分析に応用したもの。
6.従来の前提である「超自制的」性質について実際は異なるという点を説明
7.従来の前提である「超利己的」性質について実際は異なるという点を説明
8.「行動経済学」の今後の可能性と限界について
--------------------

「行動経済学」を大雑把に言うと、従来の経済学が人間を「超合理的」/「超自制的」/「超利己的」という前提にしているが、現実とかけ離れている。そこで実際はどうなのかを心理学観点の実験を通してモデル化したもの。興味深い点は、従来の前提と異なる人間像の存在が少なくても、合理的な人間の行動を変えてしまうという点。

従来の経済学では説明できない経済行動・現象が出てくるたびに、これを説明するモデルを打ち出すという立場なので、従来の経済学を根本的に覆そうとするものではないし、一本の整合的なモデル体系を示すわけでは無い。

さて、今回のブログの流れ。
 
ゲーム理論のモデル化で定義した「FXトレーダ(負け組)」を上手くモデル化する為に必要そうな観点に絞って、前述の「行動経済学」を要約・整理する。

【記事の流れ】
---------------------
1.従来の経済学が前提としていた人間像(超合理的/超自制的/超利己的)
2.「超合理的」は実際どうなのか
  「近道選び」(ヒューリスティック)について
  「プロスペクト理論」について
3.考察と課題
---------------------

さっそく「従来の経済学が前提としている人間像」から。

【経済学が前提としている人間像】
---------------------
標準的な経済学の世界では、人間の行動様式は画一的なモデルを仮定
これが感覚的に合わない背景は、経済学が「人間の合理性を徹底的に追求していくことによっていったい何が可能かということを、とことんまで理論家しようとしている」というポリシーの中、人間像のデフォルメで、分析を制御可能なものにしているという理由。そして前提とした人間像は、平均的であり、そこからはずれる非合理的な人間の行動は相殺されて、結局理論値に落ち着くという理屈。つまり、平均的な人間は経済学で前提としている人間で、そうでない人の行動のばらつきには偏りが無いという。。。

1.「超合理的」な人
  自分にとって利用可能な膨大な量の情報を、コンピュータの様に完璧に処理し、最も望ましい
  答えを常に導き出す様な人。
  
2.「超自制的」な人
  初めに決めた計画通りに実行する人。
  もちろん、計画は「超合理的」に決めた上で。
  
3.「超利己的」な人
  自身の利益のみを追求。なので、寄付とかしない。
  助け合いの精神はゼロ。仁義なんてない。
---------------------


そんなやつどこにおるねん。。。

さて次は、人間像の一つ目の前提である「超合理的」について。

【「超合理的」は実際どうなのか(近道選び)
---------------------
不確実性が存在する下での話。「近道選び」(ヒューリスティック)とは、能力限界が理由で完璧な合理性は期待できないので、問題を解決するプロセスを簡単にするために、経なければならない複雑な過程を省略した、ある程度合理的な意思決定。この「近道選び」によって発生する間違いを「バイアス」と呼ぶ。

カーネマンらは、以下の3つの代表的な「近道選び」を唱えた。つまり不確実性が存在する中では、実際の人間は以下の様な判断をしがちだ、という事。

1.代表性
  統計理論に基づく推測を行うべき状況で、本来客観的な意味で法則が存在しないときに、
  直感的な判断で、主観的な法則を導き出してしまう行動。主観的な確率評価は、客観的
  なものから乖離してしまいがち。
  「結合効果」、「基準確率の無視」、「標本数の無視」、「ギャンブラーの過ち」等

2.利用可能性
  容易に思い浮かぶ情報を優先させて判断してしまう認識プロセス。
  思い浮かびやすい事象に対しては過大な確率を、逆に思いつきにくい事象に対しては
  過小な確率を与えるというバイアスを持つ。思い浮かびやすい要素は以下。
  
  ・親近性(その事象について知識をもっている)
  ・重要性(その事象について聞いたことがある)
  ・属人性(事象が個人的に関連を持つ)
  ・最近性(比較的最近起こった事象)
  
3.係留(アンカリング)
  数量的な評価を行う際の回答が、その時にもたされている情報に左右されるという仮説。
  回答に要する時間が短く限られている場合は、係留効果が発現しやすいが、時間が十分に
  ある場合は、影響を受けない。以下は、係留効果起因のバイアス。
  
  連続的な事象の確率を過大評価、離散的な事象の確率を過小に見積もる
  推定値の信頼区間を必要以上に狭くとる
  
以下はその他の、問題認識プロセスを歪める要因。

4.自信過剰/自信過小
  結果や証拠の印象の強さが、証拠の正確さよりも相対的に強いほど「自信過剰」。
  正確さが、印象の強さを上回るほど「自信過小」。
  
  ・自信過剰 : 自信の判断を必要以上に性格であると思い込む現象
  ・自信過小 : 自分の判断の正しさを必要以上に小さく見積もるような態度
  
5.認知不協和
  判断後に、その判断が間違えているような状況での行動パターン。
  信じていたことと現実が異なるケースで発生する精神的な苦痛による感情
  を「認知不協和」と呼ぶ。信念と客観的な認知の間に矛盾が生じているという意味。
  認知不協和が生じそうな場合に、顕在化を回避する行動をとる。
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さて次は、突如現る「プロスペクト理論」について。

【「超合理的」は実際どうなのか(プロスペクト理論)
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先述の「近道選び」が判断プロセスでの歪みである事に対して、この「プロスペクト理論」は、正しく判断したとしても、くじ引きや株式投資など不確実な状況で実際はどう行動するのかについて説明する行動モデル。

1.「行動パターン」の3つの性質
  あくまでも、「参照点」と呼ばれる「ある水準」からの変化で評価する。
 
 ・「損失回避性」
   損失をそれと同じ規模の利得よりも重大に受け止める。
   →多くの実証実験の結果、「損失は利得よりも2~2.5倍程度重要」
 ・「感応度逓減」
   参照点から離れれば離れるほど、利得の変化から生じる価値の変化分が小さくなる
 ・「確実性効果」
   わずかな確率であっても発生する可能性があるケースを強く意識する
 
2.前述「損失回避性」/「感応度逓減」のグラフと式
  損失をそれと同じ規模の利得よりも重大に受け止め、参照点から離れれば離れるほど、
  額の変化から生じる価値の変化分が小さくなる

  ・「価値関数」のグラフ
   横軸が客観的な価値に対して、縦軸が主観的な価値で、得られる満足度でもある。
    
  ・「価値関数」の計算式
   v(x):価値関数、x:実際の価値
   λ:「損失回避性」を現す定数で、実験の結果では2~2.5
   β:「感応度逓減」を表す定数で1未満の正数。「行動ファイナンス入門 」では0.88
 
3.前述「確実性効果」のグラフと式
  個々の事象が起きる確立pを、心理的で主観的な確率価値π(p)に変換するのが特徴。
  わずかな確率であっても発生する可能性があるケースを強く意識する。
  
  ・「確率価値」のグラフ
   点線が客観的確率で、実線が主観的な確率  

     
  ・「確率価値π(p)」の計算式 

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そして、従来の「標準的なの経済学」「行動経済学の考え方」「近道選び」「プロスペクト理論」のそれぞれの関係が図示されていたので掲載。とっても解りやすい。


この図を見て解るとおり、「行動経済学」では不確実な状況をどう判断したとしても、行動は「プロスペクト理論」に基づいて行動を起こすことになる。今回「FXトレーダー(負け組)」の行動をモデル化するためにこの「行動経済学」について整理した。つまり、一般的な人間の行動をモデル化した「プロスペクト理論」でモデル化された行動の歪みを収益の源泉と考えればよさげ!
もう少し言うと、同じ「負け組」でも、「勝ち組」と同じ判断結果だけど「プロスペクト理論」で行動が歪められるパターンと、そもそも「判断そのもの」も間違えて「プロスペクト理論」でさらに歪んだ行動になるパターンで上手く分ける事ができればなおよし。



さて、この「プロスペクト理論」をどうやって、
前回モデル化した「ゲーム理論」の枠組みにあてはめるか。





先は長い。。。




そして、「FXシステムトレード初心者奮闘記」は「基本戦略の選択」に向けて、役に立つかどうかわからないまま知識を整理・検討している様子を継続し、「プロスペクト理論」をどう「ゲーム理論」にあてはめるのかという検討に進むのでした。
#運用中EAのパフォーマンスは、元本割れが2%弱に拡大。。