2011/10/08

初本番に向けて - 見直したWF分析工程手順でのパフォーマンスはどうなったの?



さて前回は、ウォークフォワード分析」工程で目的関数/最適化期間/WF期間を選択する手順を見直し後の実施結果から、ポートフォリオに組み込める通貨ペアの対象を絞り込んだ結果と、新手順で必要になった「ブートストラップ法」による検証ツール公開のお知らせについても書きました。
今回は、ウォークフォワード分析」工程の手順を変更したことで、パフォーマンスがどう変化したのかという事と、通貨ペアをポートフォリオに組み込む比率を決める新たな取り組みについて書いてみたいと思います。

【今回のお題】
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1.パフォーマンスの通貨ペア間相関関係
2.全通貨ペアパフォーマンス比較
3.前回と同じポートフォリオでのパフォーマンス比較
4.ポートフォリオ組み込み比率の新たな取組み
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まずは、今回の「ウォークフォワード分析」工程手順見直しによって、パフォーマンスの通貨ペア間の相関関係の変化についてです。

【パフォーマンスの通貨ペア間相関関係】
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さて、さっそく手順見直し前後の通貨ペア間のパフォーマンス相関係数を比較してみた。

●前回の結果
●今回の結果
●状況
 今回のポートフォリオの中心である、GBPJPY / USDJPY / USDCHFを中心に見てみると、
 以下の雰囲気。
 一番主軸のGBPJPYとUSDJPYの相関係数が0.2を上回って、「弱い相関関係」にな
  ってしまったという痛い状況。主軸の2通貨ペアでの分散効果が薄い。。
 二番手の結果だった、USDCHFは、GBPJPY/USDJPY両方と相関関係はほぼない。
 GBPJPY / USDJPY / USDCHFのどれとも相関関係が低いのは前回と同じくAUDUSDだけ。
 
 なので、ポートフォリオ組み込み対象は前回と同じで、GBPJPY / USDJPY / USDCHF 
 / AUDUSDの4つ。
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さて次は、全通貨ペアで初期リスクを1%とした場合のパフォーマンス比較。

【全通貨ペアパフォーマンス比較】
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今回も、手順見直し前後で比較。

●前回の結果
●今回の結果
●状況
  収益性が悪化しただけじゃなく、左から2列目にある資金残高曲線の安定性の指標
  もほとんど悪化。ドローダウンも悪化。。。
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さて、次は前回と同じポートフォリオでのパフォーマンス比較。
組み込み比率も同じにしてみた。

【前回と同じポートフォリオでのパフォーマンス比較】
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組み込み比率は、前回のトレード・プランと同じ。同じにしたのは、
やはり、GBPJPY / USDJPYが主軸で、次点でUSDCHF。そして相関係数がこれらと
低いのはAUDUSDという点が同じなので。

●前回の結果
●今回の結果 
●状況
  今回も収益性が悪化しただけじゃなく、左から2列目にある資金残高曲線の安定性の指標
  もほとんど悪化。ドローダウンも悪化。。。
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次は、今回の場合のよさげな組み込み比率を求めて見た。

【ポートフォリオ組み込み比率の新たな取組み】
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今までちょっと手を抜き気味だった通貨ペア毎の初期リスク比率。
今までは、主軸の2通貨ペアは同じ比率にして、補助的な2通貨ペアとの比率だけを変更してた。
そして2つの通貨ペアでリスクに応じた初期リスク比率を、「効率的フロンティア」を元に求めていて、計算にはリターン/リスク/相関係数を使用。

今回は、4通貨ペア全てで、「現代ポートフォリオ理論」を元に違う初期リスクを求めて見た。
#参考にした書籍は、「使える売買システム判別法」。

そして、通貨ペアのリスクとリターンは、実測値そのままを使って、リターンは年間利益リスクは最大ドローダウン。これを、Excelのソルバーという機能を使えば、いろんなパターンを自動で試してくれて、一番良い比率を求める事ができる。

●Excelソルバーでの計算方法
 1.リターンが最大になる組合せを求める
   計算式は、各通貨ペアのリターンに比率を掛けた値を全て足した値。
 2.リスクが、最小になる様に
   計算式は、各通貨ペアのリスクを二乗した値を全て足して、平方根した値。

これを、実施してみると以下の様な結果に。
#計算式に相関係数がない。。。いいのかなぁ。。。

●Excelソルバーでの結果
 さすがに、比率が細かすぎるので、5%刻みの裁量で丸めて見た。
 
●丸めて見た結果
 素朴な疑問は、この比率が堅牢なのかどうなのかを判断できてない点。
 でも、感覚的には符号付R2乗シャープレシオが高い順に比率が高くなっているので、
 なんとなくだけど、納得できる感じ。
 
●比率を丸めた結果のパフォーマンス
 ドローダウンは若干大きくなったものの、収益性も安定性も向上した。
 それでも、ドローダウンが大きいのが気になるところ。。
 #実測値で14%という結果。前回は10%以内に収まっていた。。
 
 それでも前回よりも収益性/安定性共に悪化。
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結局今回判ったのは、トータルで同じリスクを取った場合、収益性も安定性も、どうやっても前回の結果より悪化してるという事。
これが、最適化の目的関数/期間、WF期間の選定方法が悪いのか、堅牢性向上により実力に近づいた結果なのか。。。







多分後者でしょ。。




ご意見お待ちしておりますm(__)m






そして、今回の「パフォーマンス分析」はこの程度にして「FXシステムトレード初心者奮闘記」は、「ウォークフォワード分析」工程でのアウトサンプル評価の検討/考察に進むのでした。
#またMT4用EAのバグ発見。今度はデモ口座期限切れ時周りで影響度は小さいけど。。

8 件のコメント:

  1. kartz 【旧ブログから転記】2013/05/07 18:38

    こんばんは。

    > #計算式に相関係数がない。。。いいのかなぁ。。。

    無相関を仮定していることになりますね。
    4銘柄 (a~d) の合成リスクは以下のようになりますので、気になるのでしたら、
    式の後半部 (4銘柄なので 4C2 で 6項) を書き足せばよいです。
    sqrt((Wa*Sa)^2 + (Wb*Sb)^2 + (Wc*Sc)^2 + (Wd*Sd)^2
    + 2*Wa*Sa*Wb*Sb*Rab + 2*Wa*Sa*Wc*Sc*Rac + 2*Wa*Sa*Wd*Sd*Rad
    + 2*Wb*Sb*Wc*Sc*Rbc + 2*Wb*Sb*Wd*Sd*Rbd + 2*Wc*Sc*Wd*Sd*Rcd)
    Wi = 組み込み比率、Si = 個別リスク (標準偏差)、Rij = i-j間の相関係数 です。

    > 素朴な疑問は、この比率が堅牢なのかどうなのかを判断できてない点。

    パラメータは定期的に最適化するのに、
    組み込み比率は長期に渡って固定するおつもりなのでしょうか?
    もしそうでしたら、なぜそうするのか疑問です。。。

    【旧ブログから転記】
    ※ このコメントは、旧ブログで頂いたコメントを、ブログ筆者が転記したものです。

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  2. kartz様

    いつもありがとうございます!

    相関係数を含めた計算式、ありがとうございますm(__)m

    > パラメータは定期的に最適化するのに、
    > 組み込み比率は長期に渡って固定するおつもりなのでしょうか?
    > もしそうでしたら、なぜそうするのか疑問です。。。

    コメント頂いた通り、パラメータと同等の扱いにするのが正しいと思います。

    ただ、気にはしつつも現状ほぼノーアイデアで、以前ブログで書いてた、システム停止検討基準を「過去2年分相関係数相関係数が0.4を上回った場合」にしていた程度の事しか考えてなかったです。。

    うーん、いろいろ難しいですね。。。
    ちょっと、パラメータの定期的な再最適化とあわせてもっとシンプル&総合的に考えてみます。

    いつもありがとうございます!

    【旧ブログから転記】
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  3. kartz 【旧ブログから転記】2013/05/07 18:40

    なるほど、そうですか。

    通貨ペア、最適化方法、実行パラメータ、組み込み比率などを多段階で
    絞り込んでいってポートフォリオを作るタイプと、一括で最適化して
    ポートフォリオを作るタイプがあると思いますが、まあ、苦しみ所は
    全く違うものの、苦しみの総量は結局変わらないのかもしれません。

    私は後者なんですがね… (苦笑)。

    【旧ブログから転記】
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  4. kartz様

    なるほど~
    やり方2パターンあるんですね。

    多分私のやってきたパターンに、定期的な組み込み比率変更を加えると前者になるんですよね?
    #この場合、またN年毎に過去M年のバリエーションを試して評価する事になるのかなぁと思います。

    で、「シンプルに」と表現したのは多分後者で、通貨ペア毎に目的関数/最適化期間/WF期間を変えるのではなく、全て同じにして、定期的な組み込み比率の変更スパンもWF期間と同じにして、組み込み比率を決める過去データの年数も最適化期間に合わせてしまうというのをイメージしてました。
    #「後者」の解釈であってます?

    ところが、前回コメント書いた後、組み込み比率以外を一律にしてみたりしたのですが、また悩ましい(というか痛い)結果で、前者/後者の解釈があってた場合、どっちにしようかまた悩み始めたところです。

    > 苦しみの総量は結局変わらないのかもしれません。

    前者/後者の解釈があってたら、そんな気がしてきました。。。

    しばしそもそものポリシーについてアウトサンプル評価とあわせて悩んでみます。。。

    #実はこの悩んでる状況を、ブログネタにして書きながら考え中です(笑)


    【旧ブログから転記】
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  5. kartz 【旧ブログから転記】2013/05/07 18:41

    う~む。解釈の相違が大きいような…。

    > 定期的な組み込み比率変更を加えると前者になるんですよね?

    どの項目があるかということではなく、多段階の厳しい選考基準を通り抜け
    たストラテジ+実行パラメータでポートフォリオを組むものを前者と考えて
    います。優秀なストラテジ+実行パラメータが中心的な存在であり、ポート
    フォリオは最後のまとめのような印象を受けます。
    それがいけないという意味ではありません。

    > 一括で最適化してポートフォリオを作るタイプ

    このブログで出てきた数値を借りて無理やり例示しますと、

    10通貨ペア×時間枠3種×14目的関数×最適化期間7種×WF期間3種
    ×パラメータ組み合わせ100通り = 全88万2000個ストラテジ・インスタンス

    90万個を見渡して、人間が管理できる程度の個数 (例えば、30~60個) の
    インスタンスから成るロバストなチームを構成していきます。

    個々のインスタンスに対する選考基準 (候補とするかどうかの基準) がない
    わけではありませんが、逸材を選出するためのものではなく、あまりにも
    ひどいものを捨てる足切り程度です。
    90万!と驚かれるかもしれませんが、動作が似たものはクラスタリングされ
    ますので、個性の総数には自然と上限ができます (1000ぐらい)。

    以上が私が申し上げた2つのタイプです。当然、折衷案もあるでしょう。

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  6. kartz様

    全然違いましたか・・・orz

    後者のやり方はまったく知らなかったです。。
    #分散モデルというものでしょうか??

    「ストラテジ・インスタンス」という概念すら知らなかったです。

    後者のやり方が載ってる書籍、何かお勧めありますでしょうか?
    #「テクニカル分析の迷信」のデータマイニングの様な気もしますがまだ読み終わってないので。。

    そういうやり方があるのかと結構カルチャー・ショックでした。。

    説明ありがとうございます!

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  7. kartz 【旧ブログから転記】2013/05/07 18:42

    ポートフォリオを組んで運用するために EA を設計しているのに、
    EA を最適化する時にポートフォリオのことを考えていない点※に気付けば、
    後者のアプローチは自然に出てくると思います。
    感心することはないと思いますがね。
    ポートフォリオのことを考えていない点※を矛盾と見るかどうかは人次第
    ですし、前述のように、いずれのアプローチでも苦しみの総量は結局変わら
    ないでしょう。

    本などありませんので、後者を採用するなら、自分のリスク特性に合わせて
    問題を定式化して、探索的に解くしかないと思います。

    【旧ブログから転記】
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  8. kartz様

    > 後者のアプローチは自然に出てくると思います。
    > 本などありませんので、後者を採用するなら、自分のリスク特性に合わせて
    問題を定式化して、探索的に解くしかないと思います。

    おぉ。。。そうでしたか。。。

    ともかく、勉強になりました!
    #というか、発想をもっと柔軟にしないといけないなと思いました。。。

    ありがとうございます!

    【旧ブログから転記】
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