2011/04/29

FXトレーディング・プラン時代 - 通貨ペア毎の初期リスク分配を決める


さて前回は、1トレードあたりの平均初期リスクと最大推定ドローダウン率を決めたところまで話しました。今回は、予定している4通貨ペアで合計4%の初期リスクをどういう風に分配するかを決める様子を書いて見たいと思います。


本当は、前回や今回の記事はラルフ・ビンスの資金管理大全」で主に語られている領域。






けど、この本むずかしい。。。 

見たこと無い記号がいっぱい!!

#オプティマルfの算出方法までは読んだが、難しい。。。
 そして、トレードルールで試行錯誤していた時に計算してみたら、初期リスク6%とかいう無謀な計算結果が。。
 要は、咀嚼しきれていない。。





初心者向けの「確率・統計」の本買いましたよ。
この本を読むためにも。
それすらもまだ読みきれてないけど。。

なので、今回は平易で且つExcelでの計算式まで判りやすく書いてある、使える売買システム判別法」をベースに検討することに。

この書籍では、資産配分を求めるのに「現代ポートフォリオ理論」を応用した形で書かれている。
つまり、2つ以上のシステムで、それぞれのリターンとリスクと相関関係から配分する比率毎のリターンとリスクを計算。(これをグラフ化したのが「効率的フロンティア」

そして、計算したリターンとリスクから、許容できるリスクの範囲で一番リターンが得られる配分を求める。

で、何が応用されたかというと、「リスク」を「現代ポートフォリオ理論」では一般的に「標準偏差」と定義されているところを、「最大ドローダウン」に変更したところ。

ちなみに、この計算で求まる「効率的フロンティア」のイメージとしては、以下の様な感じ。

【「効率的フロンティア」のイメージ】
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2つのシステムの投資配分を5%ずつ変更していった時のリスクとリターン
あらわしている。
上記グラフで、大きい青丸から上の部分がいい配分ということ
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そして分配を決めるにあたって、整理が必要な事項を以下に列挙すると。

【分配を決める際に必要な必要事項-1】
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1.ポートフォリオ全体の危険率
  書籍上は、100万分の1という値を使用。
2.システム数
  今回は、「ウォークフォワード分析」で合格した2つの通貨ペア(GBPJPY/USDJPY)で1システム。
  それを補完する他の2つの通貨ペア(AUDUSD/USDCHF)で1システム。
  都合2システムという考え方にすることに。
3.上記「1.」/「2.」から、個々のシステムで使う危険率を求める
  個々のシステムで使う危険率=100万分の1^(1/2システム)
               =0.1%
  計算式の意味はわかりません。。
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そして、個々のシステムで使う危険率が求まったので、次は以下の項目を整理

【分配を決める際に必要な必要事項-2】
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1.リターン
  これは、「使える売買システム判別法」で紹介されていた、「回帰分析95%下限値」
  を基にした年単位損益を使用。理由は使用する書籍を統一させたかった事と、
  この計算方法は、いろんな要素が含まれているから。
2.リスク
  ここが悩ましいところ。上記「1.リターン」と同様にすると、「推定連敗数×初期リスク」
  だけど、「推定連敗数」は「勝率」からしか求めていない。
  これだと、他の要素が一切加味されないのが納得いかないところ。
  なので、いろんな最大ドローダウン推定方法で、最大値と最小値を除いた平均値を使う事に。
3.相関係数
  これがまた悩ましい。書籍では3ヶ月の相関係数を使っていたけど、今回のトレード回数や、
  評価期間を考えると見直しが必要。
  で、候補となるのが、「10年間の相関係数」、「4年間の相関係数最高値」
  「2年間の相関係数の最高値」の3つ。さて、どれを選ぼうか。。
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さて、上記「3.相関係数」として何が適切かを考えなきゃいけないんやけど。。。

ということで、「効率フロンティア」から一番リスクが低くなる配分を、相関係数毎に求め、その時の最大ドローダウンが一番小さいのが一番適正という判断をすることに。
#比較してみると、2年間と4年間では同じ配分に。

そして、それぞれの最大ドローダウンを比較してみると。

【相関係数毎の推定最大ドローダウン比較】
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あまり変わらない様な気もするが、どうも10年の結果が一番潜在ドローダウンは低そう。
なので、相関係数は10年の値を使用することに。

で、10年の相関係数を使って、「効率フロンティア」のグラフと表を書くと以下の様に。

【効率的フロンティア(10年相関係数)】
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メイン:GBPJPY/USDJPY
サ ブ:AUDUSD/USDCHF


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皮肉なことに、補完が目的である「サブ」側の比率が高くなるほど、
リターンが大きくなる結果。。。

ともかく、一番リスクが低い「メイン55:サブ45」からサブ側の比率を増やしていくと、成績のサマリは以下の様に。

【資産配分毎の成績サマリ一覧】
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確かに、サブ側を増やしていくと、「リワード・リスク比率」(年率損益÷最大ドローダウン)は、向上していく。しかし、安定性が低下傾向。Kレシオだけは違う傾向を示すが。。
#ちなみに、なぜかサブ側の配分を増やしていくと、PFが低下していく。

しかし、サブ側のウォークフォワード効率が不合格だったことを考えると、メインより比率を低くしたい。。。すると、「メイン50%:サブ50%」か、「メイン55%:サブ45%」の二択しかない。で、最大ドローダウンが小さいのは、「メイン55%:サブ45%」の方。

じゃぁ、今度はこの2つの配分比率の推定リターンの比較をしてみると。

【資産配分毎の推定リターン比較】
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 *比率で左が「メイン」、右が「サブ」
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なんと、推定リターンは、「メイン55%:サブ45%」の方が全般的にいい!




という事で、配分比率は

「メイン55%:サブ45%」で決定!!
Kレシオと、12ヶ月利益ウィンドウ率が低下するのが気になるけど。


すると、1トレードあたりの初期リスクは以下の通り。

【初期リスク見直し結果】
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メイン(GBPJPY/USDJPY):1.10%
サ ブ(AUDUSD/USDCHF):0.90%
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で、この配分の結果で、パフォーマンスを評価すると以下の様に。

【資産配分見直し後のパフォーマンス】
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売買ルール:「旧SmoothMADIシステム
対象通貨ペア:GBPJPY、USDJPY、AUDUSD、USDCHF
対象期間:2001年~2010年(10年間)
1トレードあたりの初期リスク:
  メイン(GBPJPY/USDJPY):1.10%
  サ ブ(AUDUSD/USDCHF):0.90%
1.概略
2.資金残高曲線
3.年単位詳細
4.その他
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※見直し前のデータは前回記事の下の方にあります。

ざっくりと、見直し前との比較で考察すると。

【パフォーマンスの考察】
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推定収益性や推定最大ドローダウンは改善。
破産確率
 以下の通り、破産確率も改善。
 ・勝率は変わらないが、ペイオフレシオが若干の上昇。
 ・1トレードあたりの初期リスクも半分にしたため、
  「売買システム入門 」掲載の表で、初期リスク1%の場合の破産確率は、
  0~0.5%。勝率から見た必要ペイオフレシオは1.5なので十分クリア。
 ・バルサラの破産確率表では変化するレベルではない。
●安定性
 ・シャープレシオとリスク・リワード・レシオは改善
 ・Kレシオと12ヶ月ウィンドウ率は悪化したものの、
  「トレーディングシステム徹底比較」で利益が出た15システムの
  上位半分にはいっているし、Kレシオはガイドラインを上回っているので問題なし。
 ・純粋に線形回帰線からの残差平方和の標準偏差は改善。(上記データには無し)
 ・年単位に見ると、純益の標準偏差は上昇しているものの、
  年単位の最大ドローダウンの標準偏差が減少しているのがいい点。
 ・ここ2年の成績が今一歩なのは変わらない。
●収益を挙げる可能性
 ・ProfitFactorは偶然である1.10を上回っており、問題なし。
  前回の値からも向上している。
 ・95%信頼区間下限値
  改善した。
  最大値:4.14 → 4.38
  最終値:0.61 → 1.03
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ということで、配分見直しによる
パフォーマンス改善に成功!!!











この配分が堅牢であれば



そして、オチが大した事無い状態で、「FXシステムトレード初心者奮闘記」の「トレーディング・プラン」工程は、課題「4.異常検出の判定基準」の検討に進むのでした。
#計画にもとづいて実施して、予定通りにいかない事でオチができるから、計画立案系でオチつけるの難しいのです。。。
#デモ口座上の作りかけMT4用EA、6件のバグ摘出してリリース済み。
 やっぱり、通信がからんだタイミングのずれと、異常系への考慮が難しい。

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