さて2ヶ月も前の前回は、「FXトレーダ」のモデル化に「プロスペクト理論」をあてはめた様子を書きました。今回は、「モデル化」した理屈を基に、具体的な数字を使ってシミュレーションしてみた結果について書いてみたいと思います。
【今回記事の流れ】
----------------
1.シミュレーション前提のおさらい
2.モデル詳細の見直し
3.モデルを基にしたシミュレーション計算方法
4.シミュレーション結果と考察
----------------
さて、前回から2ヶ月も経ってしまったので、まずはおさらいから。
【シミュレーション前提のおさらい】
----------------
1.おさらい
以前の記事で紹介した「プロスペクト理論」で発生する「人間行動の歪み」から収益を得ることを検討。この歪みは、仮に「正しい情報」を知ってても、その不確実性が故に「人間」が行ってしまう「非合理的」な行動。この「プロスペクト理論」には計算式があり、以下の2つ。
・「損失回避性/感応度逓減」 → 「価値関数」で計算
・「確実性効果」 → 「確率ウェート関数」で計算
2.シミュレーションの前提
前述の見直し点以外は、前回記事の「モデル設定詳細」の通りで、大雑把にまとめると、以下の通り。
■モデル概略
★100人の実需プレイヤーが、途中で決済しながらも、最終的に全員ポジション保有する方向
で推移していく。その後、同じ様に逆方向に推移。(前回からの変更点。詳細は後述。)
・実需の発注方向に為替レートが動くという想定。
・合理的な行動は、実需偏りの方向に早く発注し、実需の半分(50名)がポジション保有した
タイミングで決済する、という前提
タイミングで決済する、という前提
----------------
さて、前述のモデル詳細見直しについての説明。
【モデル詳細の見直し】
----------------
まず、前回記事のモデルを一部修正。そもそも、「実需筋がまんべんなく全員がポジション保有した後、徐々に決済していく」というモデルだったのを、「実需筋が、途中で決済しながらも、最終的に全員ポジション保有する方向で推移していく。その後、同じ様に逆方向に推移。」というモデルに修正。背景としては、「実需筋の決済」に関する「不確実性」を盛り込むため。
なので、「モデル設定詳細」の一部計算式を以下の様に変更。
■モデル設定詳細 ※Pb:新規発注の「買い」の確率、Ps:「売り」の確率、π(x):確率ウェート関数
・【変更前】期待される利益・損失は以下の様に考える(ここがミソ)
「新規買い」の場合 = 未発注プレイヤー数 × π(Pb) + 売り保有中プレイヤー数
「新規売り」の場合 = 未発注プレイヤー数 × π(Ps) + 買い保有中プレイヤー数
↓
・【変更後】期待される利益・損失は以下の様に考える(ここがミソ)
「新規買い」の場合 = 未発注プレイヤー数×π(Pb) + 保有中プレイヤー数×π(Ps)
「新規売り」の場合 = 未発注プレイヤー数×π(Ps) + 保有中プレイヤー数×π(Pb)
----------------
さて、実際に計算してみた。
【モデルを基にしたシミュレーション計算】
----------------
A.偏りを「買い50%」から徐々に大きくしていく
実需保有ポジションはゼロで計算
B.主観的確率を「確率ウェート関数」で計算する
計算式に基づくと以下の様に、「勝った(for Garin)」時と「負けた(for Loss)」時
で使う「定数」が異なる。なので、「勝ち負け」と「買い売り」それぞれの場合で
「主観的な確率」を求める。例えば以下は、「実需買い70%」の場合。
客観的には「買い発注」する事で70%の確率で「勝ち」になるけど、
主観的には「買い発注」で勝つ確率は46%、「売り発注」で
利益が出る確率は20%と考えてしまう。
※二つ足しても100%にならないのもミソ
C.さらに「価値関数」で利得を計算し、実際にとる行動を決める
「価値関数」の計算では、「勝った時の利益」と「負けた時の損失」を天秤にかけ、
「主観的な推定利益」を求める。
参照点は一旦ゼロで計算。すると以下の表な計算結果が求まる
その他条件は「実需買い70%」、実需保有ポジションなし。
上表の「3.」の「総合評価」欄が、総合的な判断結果。今回は「ニュートラル」
で、「発注しない」という結論。
総合判断の方法は、「買いオーダー」も「売りオーダー」も同じ判断結果になれば、
その方向で発注すると判断。両者が食い違っていれば、「どっちかわかんない!」
という事で「ニュートラル」。
さて、「実需買い70%」を「実需買い75%(+5%)」にしてみたのが以下。
今回は、「買い」で損得を考えた場合でも、「売り」で損得を考えた場合でも、
「買いが得」という同じ結論になったので、「総合評価」も「買い」
D.複数の「参照点」で以下を計算
上記「C.」をいろんな値で計算して纏めたのが、以下の表。
■表の作成方法
・「発注」に関する判断
何%の偏りで「買い」と判断されるか計算。51%に近いほど「合理的」
と考える。「実需保有ポジションなし」の前提。
・「決済」に関する判断
「実需保有中ポジション」をゼロから1ポイント単位で増やしていく。
「総合評価」が「買い→ニュートラル」に変化したタイミングで「決済する」
と考える。決済するタイミングが50(プレイヤー数100の半分)に
近いほど「合理的」と考える。
・この計算を、3種類の「実需偏り」パターンで行う
----------------
そして出来上がった上記表を考察。
【シミュレーション結果と考察】
----------------
さて先ほど完成した表内の数字がどういう傾向になっているのかを書き加えたのが以下。なーんとなく傾向が出てる。計算式に数字あてはめただけだから当然だけど・・・
この表から言えそうな事を文章にしてみると以下。
●発注
・大きく勝っているか負けている人が合理的。元本に近い人ほど非合理的。
※ここで「合理的」とは、「小さな実需の偏りでもトレードを行う」事
●決済
・含み益がほぼ±0近辺の人程はやく決済する。
・実需の偏りが少ないときほど、はやく決済する。
※ここで「合理的な行動」は、「実需の半分がポジションを持った状態」で決済する事。
●特に非合理的な人
・口座残高が原資に近く、実需の大きな偏りでしかトレードをしない人。
・含み損失/利益が大きく、実需の小さな偏りで発注した人。
----------------
さて、これをどう捉えるのか?
そもそも今回のシミュレーション結果は、不確実性がある中で、正しい需給の偏りを知っている前提。なので、本当はありえない状況。あと、「戦略検討」の取組みの一つでしかない。
でも、何かに活かせると信じたい!
え?信じるものは騙される!?
そして、「FXシステムトレード(元初心者)奮闘記」は久しぶりのブログ更新ゆえに、過去記事を思い出しながら「戦略検討」を進めるのでした。
#運用中EAのパフォーマンスは、一旦+4%弱まで回復したけど、またもや元本割れ。。。1%弱程度だけど。。でも含み益は元本上回ってる!
0 件のコメント:
コメントを投稿