2012/11/17

戦略検討 - 「戦略検討」のまとめ



さて前回は、「プロスペクト理論」をモデル化した理屈をもとに、シミュレーションした結果について書きました。今回は、これまで書いてきた「戦略検討」をまとめた結果を書こうと思います。

今回の記事の意図は、いろいろ検討ばかりしていても先に進まないので、一旦区切りを付けたい、という事と、今回の記事を印刷しておいて、何かのおりに都度見ながらアイデアにつなげるため。

【全体像】
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1.収益の源泉と参加者
2.ゲームの内容
3.価格変動モデル
4.近道選び(ヒューリスティック)
5.プロスペクト理論
6.群集行動
7.戦略の基本的構造
8.「理論駆動型」戦略の分類
9.次システム候補
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【収益の源泉と参加者】
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トレード対象と考えている先進国通貨において、(中長期的な)トレンドが構築されるメカニズムは存在せず基本はレンジ相場パニック状態になるとボラティリティが急上昇し、「レートがジャンプ」している様な一過性のトレンドが発生する。

●収益の源泉
 ・為替市場には二重の意味で非効率性が残存し、したがって収益機会が存在する
  従って、為替市場から収益を上げることは可能である
 ・二重の非効率性
  「能力の低い参加者による非合理的行動
  「取引動機による歪み

●参加者
 1.多様な参加者
   市場参加者は、その目的や能力・経験などにおいて多種多様。従って、高い能力と
   豊富な経験を持つ投資主体が為替リターンの追及に徹するならば、「勝つ」事が可能。
 2.参加者構成
   取引自体からのリターンを必ずしも主要目的としていない投資家による取引ウェイト
   も為替取引高の60%を占めていると推測(※)。
   ●参加者の内訳(推測)
    ・事業活動に伴う為替取引者 20%
    ・投資信託等の投機筋    40%
    ・為替市場から利益を得ようとする投機筋 40%
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【ゲームの内容】
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選んでいる行動を他の行動に変更しても期待利益が高くならないとき、その戦略の組合せを「ベイズナッシュ均衡」と呼び、それがゲームの解。

●「非協力ゲーム」
 個人一人ひとりを社会の構成単位と考えて、その個人がどのような行動を選択するかについて
 扱う。
●「戦略型ゲーム」
 すべてのプレイヤーが、同時に行動をする。
●「不完備情報ゲーム」
 各プレイヤーは他のプレイヤーが知らない個人情報を持っているゲームで、確率によって相手
 の持つ個人情報を推測して、その期待値によって行動を決める。
●「無限回繰り返しゲーム」
 実質的に無限回の行動が選択されるゲーム。
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【価格変動モデル】
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注文中のオーダーが偏った方向に、偏り分だけの速度で為替レートが変動する、と考える。
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【近道選び(ヒューリスティック)
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複雑な過程を省略した、ある程度合理的意思決定。以下は、代表的な3つの「近道選び」。

1.代表性
  統計理論に基づく推測を行うべき状況で、本来客観的な意味で法則が存在しないときに、
  直感的な判断で、主観的な法則を導き出してしまう行動。主観的な確率評価は、客観的
  なものから乖離してしまいがち。
2.利用可能性
  容易に思い浮かぶ情報を優先させて判断してしまう認識プロセス。
  思い浮かびやすい事象に対しては過大な確率を、逆に思いつきにくい事象に対しては
  過小な確率を与えるというバイアスを持つ。思い浮かびやすい要素は以下。
3.係留(アンカリング)
  数量的な評価を行う際の回答が、その時にもたされている情報に左右されるという仮説。
  回答に要する時間が短く限られている場合は、係留効果が発現しやすいが、時間が十分に
  ある場合は、影響を受けない。以下は、係留効果起因のバイアス。
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※出典:「行動経済学入門」 /  ブログ記事:「行動経済学」(1)整理してみた

【プロスペクト理論】
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正しく判断したとしても、くじ引きや株式投資など不確実な状況で実際はどう行動するのか

● 「行動パターン」の3つの性質
 1.「損失回避性」
   損失をそれと同じ規模の利得よりも重大に受け止める。
   →多くの実証実験の結果、「損失は利得よりも2~2.5倍程度重要」
 2.「感応度逓減」
   参照点から離れれば離れるほど、利得の変化から生じる価値の変化分が小さくなる
 3.「確実性効果」
   わずかな確率であっても発生する可能性があるケースを強く意識する

● 行動のモデル化
 100人の実需プレイヤーが、途中で決済しながらも、最終的に全員ポジション保有
 する方向で推移していく。その後、同じ様に逆方向に推移。

 ・実需の発注方向に為替レートが動くという想定。
 ・合理的な行動は、実需偏りの方向に早く発注し、実需の半分(50名)がポジション保有した
  タイミングで決済する、という前提
● シミュレーションの結果
  1.発注
   大きく勝っているか負けている人が合理的。元本に近い人ほど非合理的。
   ※ここで「合理的」とは、「小さな実需の偏りでもトレードを行う」事
 2.決済
   ・含み益がほぼ±0近辺の人程はやく決済する。
   ・実需の偏りが少ないときほど、はやく決済する。
   ※ここで「合理的な行動」は、「実需の半分がポジションを持った状態」で決済する事。
 3.特に非合理的な人
   ・口座残高が原資に近く、実需の大きな偏りでしかトレードをしない人。
   ・含み損失/利益が大きく、実需の小さな偏りで発注した人。
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※出典:「行動経済学入門

【群集行動】
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理論物理学者ディディエ ソネット氏は、書籍「入門 経済物理学」の中で、金融市場に見られる同調行動を以下の4つに分類したとのこと。

1.情報のカスケード
  前の人の「行動」を観察した人が、その「行動」に倣って行動すること。
2.評判への同調
  評判の高いオピニオン・リーダーに同調する行動。
3.調査のための情報
  アナリストの同調行動が該当。
4.観察された同調行動
  ポジティブフィードバック取引のこと。
  ひとつの行動が自己強化サイクル的に増強されていくのがポジティブフィードバック。
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【戦略の基本的構造】
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戦略の構成要素を示したもの。
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【「理論駆動型」戦略の分類】
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市場のふるまいを説明する理論を考える戦略。一方「データ駆動型」は、観察はするけど理論をもとめない、という考え方。
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【次システム候補】
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・レンジ相場に適合する「回帰システム」
・「短期トレンドシステム」
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そして、「FXシステムトレード(元初心者)奮闘記」は「戦略検討」を終わらせ、どこかに進むのでした。次からはもう少し記事を短くしよう。。。
#運用中EAのパフォーマンスは、含み益をいれても元本+1800円涙

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