さて前回は、 通貨ペア間の損益に相関関係に大きな変化が無く、リスクレベルさえ落とせば使えそうなシステムになったと判断したところまで話しました。
今回は、通貨ペア間の相関関係についての考察と、本工程までの振り返り、課題整理についてです。
まずは前回の、素朴な疑問である、通貨ペア単位月間収益の相関関係についてもう少し調べて見た。
【通貨ペア単位月間収益の相関関係】
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そもそも、10年間の月間損益での通貨ペア間損益の相関関係から今回の通貨ペアの組み合わせにしたけど、それが本当にいいのか?という事。
まず、主軸の通貨ペアである、GBPJPYとUSDJPYを「メイン」
そして後から追加した通貨ペアである、AUDUSDとUSDCHFを「サブ」
と呼ぶことにして、「メイン」と「サブ」の10年間の月間損益相関係数を求めて見ると。
メイン/サブ相関係数(10年間)=0.0036
なので、一般的と言われる弱い相関関係のレベル「0.20」と比較しても、全く相関関係は無い。
じゃぁ、10年間じゃなくて、もう少し短い期間だとどうなのかを見てみる。
以下のグラフは、過去2年間と4年間の相関係数を求め、1ヶ月単位の推移。
●相関係数推移
やはり、結構ブレがあって、過去2年間の相関係数高値を見てみると。
最高値は、2008年 3月(2006/ 4~ 2008/ 3)の「0.31」で、弱い相関関係。
二番手は、2006年10月(2004/11~2006/10)の「0.25」で、弱い相関関係。
過去4年間の相関係数でピークは、2008年10月(2004/11~2008/10)の「0.27」。
ちなみに、最大ドローダウンの日程と関係あるかどうか見てみる。
最大ドローダウン期間:2006/1/18~2008/1/12。
最大ドローダウンピーク日:2007/3/3
2年間の相関係数のピークが、最大ドローダウン時期と結構符合してて、「メイン」と「サブ」の月間損益の相関系が高くなるとドローダウンの可能性が高くなるという仮説が立てれるかも。
で、これを事前に検出できれば、ドローダウン軽減の処置が打てる事に。
毎月、過去2年間損益の相関係数が一般的に弱い相関係数と言われる「0.20」を超過した時に、トレードする「サブ」の通貨ペアを見直す事にすると、以下の時期に見直す事になる。
●相関係数「0.2」超過開始月
・2006年 6月(2004/7 - 2006/ 6)
・2008年 8月(2006/9 - 2008/ 8)
・2009年12月(2008/1 - 2009/12)
じゃあ、上記タイミングで見直したとして、利益を取り逃がす事は無いのか?という視点として、12ヶ月ローリングリターンでみた時のピーク(1万US$超過で山になっている点)を見てみると。
●12ヶ月ローリングリターンピーク
・2002年12月(2002/ 1 - 2002/12)
・2004年 4月(2003/ 5 - 2004/ 4)
・2008年 2月(2007/ 3 - 2008/ 2)
・2008年10月(2007/11 - 2008/10)
・2009年 9月(2008/10 - 2009/ 9)
結局、決め手は見つからず。。ガクッ。。。
救いは、近年は負の相関関係になっている点。しかも、中程度に有意な「-0.4」を下回っている点。
もし、相関関係で見直すとすると、2年間で中程度に有意な「+0.4」を上回ったときに考え直す事にしようかな。
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結論なしかよ。
【ここまでを振り返って】
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まず見てほしいのが、以下の「ウォークフォワード分析 」工程で作った表。
●ウォークフォワード分析サマリ
今回ここからまず、「ウォークフォワード分析」で合格した、GBPJPYとUSDJPYをまず選択して、その欠点を補完する意味で、不合格だったけど、相関関係の観点でAUDUSDとUSDCHFも選んだ。
で、素直に上記表を見ると、純益で見ても、PFで見ても、もっと成績がいい通貨ペアがあるのに、なぜそれを選ばなかったのか?という疑問。
で、「ウォークフォワード効率」って結局なんなんや?って事を考えたところ、市場変化に追従できるかどうかの尺度なのではないかと。
なので、今思っているトレードシステムで必要な特性を整理すると。
●システムで必要な特性と、主な確認工程
1.収益性 ・・・ 「予備検証」/「パフォーマンス評価 」
3.安定性 ・・・ 「パフォーマンス評価 」
今まで、上記「1.」~「3.」というのは意識していたけど、「4.」についての意識が希薄だった気がする。そして、各工程でいろんな評価項目を見ていたけど、もっと絞り込めるんじゃないかとも。
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さて、上記表を見て、次なる疑問として浮上するのは、「ウォークフォワード分析 」で不合格になったものの、WF効率も収益性も高い、GBPUSDをなぜ選ばなかったのか?という疑問。
【GBPUSDを選ばなかった理由】
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発端は、GBPJPY/USDJPYと相関性が低い通貨ペアから選んだから。
ただ、前述の通り、相関性は結構流動的。実際問題結構悩ましいが、感覚的に言っても、以下の組み合わせを見たとき、GBPがらみが多くなってしまう点。そして、今予定している以下「1.」の通貨ペアの組合せの場合、北アメリカ、ヨーロッパ圏、アジア圏、オセアニア圏と満遍なく地域的に網羅できる点。
そして、GBPUSDを入れたものも含めると、以下の通貨ペアの組合せパターンが。
●他の通貨ペア組み合わせ例
1.GBPJPY / USDJPY / AUDUSD / USDCHF
2.GBPJPY / USDJPY / AUDUSD / GBPUSD
3.GBPJPY / USDJPY / GBPUSD / USDCHF
そして、実際評価した結果、安定性が一番高かったから。
●通貨ペア組合せ比較
上記の表の通り、安定性を示す「シャープレシオ」/「Kレシオ」/「12ヶ月利益ウィンドウ率」/「リスク・リワード・レシオ」に関して、どれを取っても上記「1.」がベスト。かといって、収益性が悪かったら意味が無いので、収益性の観点として、「リワード・リスク比率」を見ても、上記「1.」がベスト。
そして、最大ドローダウンが一番低いのも「1.」。
次に、本当に最大ドローダウンが一番低いのが偶然なのかを見るために、過去記事で試した最大ドローダウン推定結果の比較を一覧化してみたのが以下の表。どの推定を試しても、通貨ペア組合せの「1.」が一番小さい結果。
●推定最大ドローダウン比較
じゃあなぜ、そこまで安定性を重視するかと言うと、過去記事「理想系は何?そしてシストレへ 」で書いたとおり、資金残高曲線が安定していると、ポジションサイズを大きくする事ができ、結果、利益を大きくする事ができるという理由。
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という事で、色々比較検討した結果、相関係数が極端に上昇しない限り、前回記事の評価でも使った、「1.GBPJPY / USDJPY / AUDUSD / USDCHF」の組合せに決定。
つまり、「パフォーマンス評価 」工程完了!
で、結局課題として残っているのは以下。
【残課題】
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1.リスクに対して、証拠金不足の懸念があることから、初期リスクの見直しが必要
2.全て同じ初期リスクとしているが、見直す必要は無いのか
3.実際このシステムでとるリスクレベルをどうするのか
4.異常検出の判定基準
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つまり、トレーディング・プランが
残っているということ。
#MT4動作用のPC準備完了!今のところ収益以外は結構いい感じ。
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